仙台城本丸の石垣修復に関する要望書


    仙台市長
      藤井 黎 様

  仙台城本丸北側の石垣(第三期)の解体工事が終了し、昨年一二月上旬から石垣
の積上げ工事が始まりました。一月下旬段階で二段目から三段目にかけての積み上げ
が進行中ですが、疑問を感じるような工事の実態が明らかになりはじめています。

 最大の問題は、破損した石材と交換される中国産の石材が元の石材と同様の形に加
工されず、異常に長い直方体のまま積み上げられている点です。そのため、古い石材
と新しい石材の長さや形状が統一されておらず、復元とは言い難い異様な状態で積み
上げ工事が進行しております。

 第三期の石垣は約九一〇〇個の石材で構築されていますが、そのうち約一二〇〇個
が石割れ等の理由で交換されるとのことです。新石材との交換はやむを得ないことで
すが、全体の約一三%の石材が、古い石材とは全く異なる直方体の形態で挿入される
ことになります。そうすると、石材と石材の接触面が大きく変化するだけではなく、
石材の隙間にはめ込んでクッションの役割を果たしてきた木っ端石の量なども変わ
り、旧来の石垣と比べ、全体として構造的・力学的関係が大きく変化することは明ら
かです。

 藤井市長は、昨年一一月の記者会見で、「伝統工法による三期石垣の積み戻し」を
言明していましたが、現在の積み上げ工事をみる限り、「伝統工法」による積み上げ
が行われているとはいえません。市長の公約は守られていないのです。また、こうし
た工法で、本当に将来にわたって安全性が確保できるのか、という点についても重大
な疑念があります。

 石垣の修復等を検討する「仙台城跡石垣修復等調査検討委員会」が昨年八月に解散
されましたので、現在の修復工事は、石垣の伝統的修復法に通じた専門家の指導・助
言を十分に受けることなく進められています。このような体制で、本当に「伝統工
法」による修復がなされるのかという点についても、大きな不安を抱いております。
また、検討委員会の解散は、情報開示という面でも大きなマイナスとなりました。現
状では、一体どのような方針で工事が進められているのか、市民にはまったく伝わっ
てきません。

 今回の石垣修復は、数百年に一度という歴史的な大事業です。現在進行中の異常な
石垣積み上げを見直し、市長の公約にありましたように、名実ともに「伝統工法」に
よった石垣の修復を行われるよう、私たちは強く要望致します。また、石垣の「伝統
工法」による修復を間違いのないものとするために、専門家による検討委員会を早急
に設置されることも、あわせて強く要望いたします。

       二〇〇一年二月八日


         仙台城の石垣を守る会
             代表世話人  平川 新(東北大学教授)
               世話人  大藤 修(東北大学教授)
                同   菊池勇夫(宮城学院女子大学教授)
                同   菊池慶子(聖和学園短期大学助教授)
                同   鯨井千佐登(宮城工業高等専門学校教授)
                同   今野 眞(仙台電波高等専門学校教授)
                同   斎藤善之(東北学院大学助教授)
                同   ジョン・F・モリス(宮城学院女子大学教授)
                同   高橋美貴(東北大学助教授)
                同   千葉正樹(東北大学助手)
                同   柳原敏昭(東北大学助教授)

 

 


TOSHIAKI Yanagihara tyana@sal.tohoku.ac.jp